研究概要 |
典型的な建築付帯物に関して最も基本的な形状となる角柱状物体周り気流によって発生する空力音の数値解析について,平成16年度研究実施計画に沿って以下の検討を行った。 1.従来提案されてきたモデルとの比較 本研究において提案している,柱状物体の部分スパン数値流体解析結果を利用した全スパン放射音圧計算手法に関し,従来提案されてきた加藤の式と本提案手法の比較を風洞実験結果の解析によって行った。数値解析によらず風洞実験とした理由は,典型的には断面辺長の数十倍に渡る全スパンの検証計算を行うには,現時点では計算機資源が過大となること,および将来の数値解析結果照合のための参照データ取得の目的による。 本実験解析の結果,加藤の式と比較してKarman渦放出周波数域,およびそれ以外の周波数のいずれにおいても全般的な予測精度に優れ,特に解析スパンの変動に対して安定した推定結果となることが示された。すなわち,解析スパン対実スパン比の大きな場合においても良い推定結果が得られることを意味する。 2.数値解析手法の検討 既往研究で実測結果と突き合わせて思わしい対応の得られなかった,1.の提案手法も含む数値予測手法全体の見直しを行った。音源となる表面変動圧力の算出結果については解析結果の有次元化,周波数分析などに伴う複雑な換算係数が一因と判明し,数値予測結果は概ね妥当といえる程度に改善された。さらに良好な対応を得るため,次年度も引き続き検討を行う。
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