1)厨房内及び一般的な熱対流に関するデータの収集 既往の建築、火災、機械分野等での高浮力プリュームに関する文献調査を行い、厨房内において利用可能な熱対流・汚染質輸送解析のための基礎資料(解法、熱物性等)を作成した。また、既往の実験による厨房内の熱対流及び汚染質拡散の特性(代表温度差に対応する気流分布、温度分布、汚染質濃度分布および非定常的な種々の物理量の増加、減衰過程)に関するデータを整備も併せて行った。 2)厨房内の顕熱・潜熱混成プリュームの解析・検証 低マッハ数近似式に潜熱の効果を組み込んだ予測モデルにより、簡易形状を対象とした顕熱・潜熱混成プリュームを解析し、既往の実験結果(電化厨房における湯沸かし実験)と比較することによりその予測精度を検証した。流れ場等の予測結果は、実験結果と比較して若干非拡散的な傾向を示すが、熱収支等を比較する差が顕著となった。この点の改善は今後の課題と位置づけている。 3)電化厨房を対象とした解析・検証 電化厨房機器に対する排気システムについても解析を行い、排気効率、周辺空間の温熱環境を評価し、システムの有効性に関する検討を行った。検討項目は、a)トップフード型排気システムに壁面を設置した場台の熱除去効果・室内温熱環境及びb)天井型排気システムを採用した場合の熱除去効果・室内温熱環境の2点である。ここで、b)の天井型排気システムとは、フードを設けず、発生負荷を上部空間に滞留させ、天井面に設けた排気口から除去するタイプの排気システムである。a)に関しては、壁面数の変化が顕熱の除去に影響を及ぼすことを示した。b)に関しては、天井型排気システムのエアーカーテンと誘引気流の効果を明らかにし、中央排気口の風量が172.5m^3/hの場合に、AC吹出風速0.5m/sにおいて熱除去率の向上すること等を確認した。
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