研究概要 |
昨年度の調査を踏まえ,以下の調査を行った (1)郊外ニュータウン特有の住宅形式「むき出し住宅」の詳細調査 特に郊外住宅地で顕著に見られ,郊外住宅地の街路景観を形成する上でカギになると思われる「むき出し住宅」(駐車空間を優先し,住宅敷地の道路に面した部分が全て駐車場になっており,その後背に建つ建物が,あたかも街路に直接面して建っているようになっている住宅)に注目し調査を進めた.新潟市近郊のニュータウンで,住戸数が200戸以上で,建造年代がそれぞれ異なる6カ所を選定し,実踏調査によりむき出し住宅の全戸に占める割合を調査した.むき出し住宅は,宅地の接道幅が狭い住宅や,駐車車両数が多い住宅で多く,敷地が狭小化し,車の依存度が増し所有車両が多い最近の住宅地ほど頻出頻度が高いことが分かった.また,接道が北側の宅地ほどむき出し住宅の比率が高く,これは庭が南側に確保され家屋が街路側に片寄っていることが原因と推察される. (2)居住者の働きかけと街路景観の相関 街路の撮影調査より,むき出し住宅における居住者の働きかけ(ガーデニングやDIYなど)による街路空間への影響を調査した.むき出し住宅では,街路に面した空間が,駐車場と兼用されるため,溢れ出しは隅に追いやられ,タイヤなどが置かれるなどサービスヤードが露出するような状態になっている.また,建物と街路の問に視覚的な緩衝要素が無いことから,開口もカーテン等で目隠しされているなど,街路に対して良好な状態が形成されていないことが分かった.しかし,駐車スペース分だけセットバックするため,結果的に建物壁面線が揃うなど,調和的な街並みを作り出せる可能性も指摘された.また,ニュータウン居住者に対して,街路環境への働きかけ(植栽やDIY)についてヒアリングを行った. 今後は,こうした典型的郊外住宅をモデルに居住者の働きかけによる街路景観形成の可能性を探っていく.
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