本研究は、途上国における開発計画支援ツールを開発するものである。今年度は、その一部である、市街化予測モデルについて研究を進めた。その概要を以下に示す。このモデルのベースは、平成13〜15年度科研(特別研究員奨励費)で開発を進めてきたものであるが、その問題点を改良し、ケース別評価まで可能なモデルにしている。 (1)セルオートマトンによる市街化予測モデルの改良 本研究の対象地域はスリランカ、コロンボ都市圏である。平成13〜15年度科研では、まず市街化の要因を分析し、その結果を用いて、市街化予測モデルを開発した。この部分を再度見直し、次の点でモデルの改良を行った。 ・開発ポテンシャルには、既存市街地からの距離、交通アクセス性(道路と駅)、工場と都市センターからの距離を組み込んだ。 ・土地適正度については標高のみで判定させた。 ・距離減衰パラメータを2、近傍セル数を2にした場合が最も高い再現性が得られた。 (2)ケース別シミュレーション 改良したモデルを用いて、緑地保全地域を指定した場合と、対象地域のマスタープランで計画されている工業団地を造成した場合の市街化を2015年までシミュレーションし、緑地保全とバランスのとれた規制方策を検討した。 緑地を保全する場合については、衛星データの解析から得られる植生指数NDVIを緑地データとし、NDVI値が80以上、110以上、130以上のセルを開発禁止にした場合を想定した。この結果、NDVIが110以上のセルを開発禁止にした場合に、市街化による緑地減少を最低限に抑えることができた。
|