本年度は、前年度までに開発した市街化予測モデルを改良し、今年度新たに開発した土地利用計画図作成支援ツールを、GIS上で統合することで計画支援ツールを開発した。 1.市街化予測モデルの改良 昨年までのモデルは、100mメッシュ単位で市街化する位置を予測するものであったが、密度も予測できるよう改良した。モデルの処理では、まず空地から一般市街地への遷移がチェックされ、その後、一般市街地から密集市街地への遷移がチェックされる。コントロールトータルは、行政区ごとに計画人口を与え、それに達するまで計算を繰り返す。 2.土地利用計画図作成支援ツールの開発 このツールは、500mメッシュ単位で自然環境保全地域、住居系地域、商業系地域、工業系地域に区分する。用いるデータは、利便性の指標としてCBD・都市センター・学校・駅・幹線道路・港からの距離、地形条件として標高とNDVI、社会経済的条件として人口密度を用いた。各地域の評価には、AHPを用いて評価項目の重要度を決定し、総合評価値が最も高い地域に区分した。 3.土地利用計画支援ツールの開発と適用 上記2つのツールを、市販GISソフトであるArcGISに組み込み、土地利用計画支援ツールを開発した。具体的には、ArcGISをVisual Basicでカスタマイズさせ、市街化予測モデルのパラメータ、土地利用図作成支援ツールで用いる各評価項目の重要度の設定をパネル上で可能にし、結果表示でも、描かれた土地利用計画図の各メッシュ情報を、開発する上での留意事項とともに表示させるなど、ユーザーの理解を助ける工夫を行った。本ツールは、スリランカ・コロンボ都市圏に適用させた。 本ツールは、まずCAモデルで将来の市街化を予測し、それを用いて土地利用計画図作成支援ツールで土地利用計画図を作成することで、将来起こりうる市街化に対応した土地利用計画図の作成を可能にしている。
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