本研究における主要な研究対象である「湯けむり」はこれまで正確な位置やその特徴も把握されていなかったため、本年度はまず、その調査と得られた調査結果が今後、更新・管理されていくためのシステムを検討した。 GPSを用いた大規模景観構成要素「湯けむり」の分布調査を実施し、GISによるデータ整備と湯けむりの規模や噴気口の種類等の特徴を把握した。また、当該地域で現在みられる「湯けむり景観」を抽出し具体的な景観整備指針を示すことを目的に、抽出された景観の解析を行った。得られた結果を以下に列挙する。 ◆湯けむりのデータ整備による管理システムの構築 1.研究対象地域内で湯けむりの「規模、噴気の状況、噴気口の種類、噴気の写真、地図上での位置」とGPSによる「位置情報」を把握した。 2.その結果、対象地域に見られる湯けむりには噴気口により5つのタイプがある事がわかり、調査結果をGIS上で管理できるようデータ化した。 3.さらに地域を絞って、現地踏査で得られた地図上での正確な位置とGPAによって得られた位置情報の誤差を算出し、GIS上における今後のデータ更新、管理の可能性を試験的に確認した。 但し、湯けむりは気温や湿度、風に影響されるため予定より調査に時間を要したため、GPAを利用した調査は全ての対象地域で実施できなかった。よって次年度早々にデータを完成させ誤差を再検討する必要がある。 ◆景観操作に準用可能な解析手法による湯けむり景観の解析 1.研究対象地域内にある8つの温泉郷と行政機関の集中する地区を加えた計9地区にて、主要な幹線道路沿いからみられる、湯けむり景観を写真撮影により網羅的に抽出し、ワーキンググループ内である一定の基準により164シーンに研究対象を絞った。 2.それらの景観構図を解析することで現在9タィプの湯けむり景観が対象地域内に存在することを明確にした。
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