2005年度は、昨年度の調査研究を分析し、山小屋の空間構成の根拠は雪崩・地形などの外的要因が大部分を占め、配置・デザインの根拠が他律的に形成される特異な存在であることが分かった。それゆえに独特の景観が生まれ、バナキュラーな様相をつくりだしている。立地環境に応じて4つのバリエーション「斜面に埋没した建築の造形」・「急斜面を利用した立体配置」・「稜線上の線状のかたち」・「平地に広がる集合と離散の造景」が考えられることが分かった。 これら研究成果をもとに、「多視点の時代-ライトインフラストラクチャーのネットワーク」(SLOWMEDIA発行/「URBAN DYNAMICS・01」誌/2005/06)や「山小屋の建築」(山と渓谷社/「山と渓谷 2005年8月号」誌/2005/08)・「ライトインフラストラクチャーの素形-山岳建築研究序論」・「山岳建築がつくり出す多様な造景」(鹿島出版会/SD2005/2005/11)などの論考の雑誌掲載や「山岳地建築の空間構成に関する研究(その1)-北アルプスにおける山小屋建築を事例として」・「山岳地建築の空間構成に関する研究(その2)-山小屋建築の配置計画に関して」(2005年度日本建築学会大会学術講演梗概集/2005/09)として日本建築学会大会学術講演にて口頭発表したところ、次年度以降の調査分析も期待するとの評価をいただいた。 また同時に、三重県市街地に隣接する小さな山の頂に建つ宿泊施設・レストラン・休憩所の計画案/kmnプロジェクト(2005/06)の提案を行い、具体的な建築設計モデルとして提案した。 本研究は引き続き次年度以降も、さらに国内外において調査・提案を行う予定である。
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