「東南アジアの土着的住居・集落にみられる計画技術の活用に関する研究」は、1.土着的住居・集落に関する研究と2.計画技術の活用に関する研究の2つに分かれる。 1.については、昨年度実施したバナキュラーな住居・集落の研究にあわせ、範囲を広げ都市居住について焦点を当てた。カンボジアの首都プノンペンを対象とし、一般的な都市住居であるショップハウスの平面構成について、類型化を試みるとともに、都市居住を住居だけでなく街区全体への居住という視点を用意し、街区居住の形態についても考察を行った。具体的には、街区内の宅地割りや路地形態の分析を行うとともに、アジア一帯で顕著な外部空間の活発な利用形態について、類型化を行った。宅地割りについては、単数背割り型、複数背割り型、垂直路地型、ロの字型、複合型があることが明らかとなった。プノンペンの中心部ドンペン地区は、東南アジアでもめずらしく中層のショップハウスが連続して建ち並ぶ地区であるが、ドンペン地区を対象に、ショップハウスによって形成される街路景観の特性についても考察を行った。ここのショップハウスのファサードは、(1)ベランダ、(2)たれ壁・櫛形窓・多孔ブロック、(3)手すり、(4)壁面仕上げ、(5)窓・ドア、(6)庇・増改築、(7)植栽・祠で構成されるが、4mグリッドで構成される街区ファサードが、個々の住戸の多様性に統一感を与えていることが明らかとなった。 2.計画技術の活用に関しては、版築工法をもちいた学校建設の実現可能性について検討を行った。版築工法とは、現地の材料を用い現地の人々の手で実現可能な、学校建設の施工技術である。現地で集会所を1棟建設するとともに、中学校建設に一部版築工法を用いた。材料コストとしては、一般的なRC造と比較して7割のコスト削減が可能であることが明らかとなった。
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