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2005 年度 実績報告書

重症心身障害児・者の生活力向上に寄与する環境刺激のあり方に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16760506
研究機関筑波技術大学

研究代表者

山脇 博紀  筑波技術大学, 産業技術学部, 助教授 (60369311)

キーワード重症心身障害児 / 肢体不自由児施設 / 行動観察調査 / 空間のユニット化 / ケア単位の小規模化 / 自立度 / 直接支援業務 / 関節支援業務
研究概要

「施設空間のユニット化とケア単位の小規模化」と「入所する重症心身障害児(重度の脳性まひ児)の生活」の相互作用を環境行動学的視点から実証的に検証し、重症心身障害児の自律的生活を支える施設環境のあり方について建築的知見を提出することを目的とする。
調査対象施設は従来型ホスピタルモデル平面からユニット型平面へと建て替えをおこなった(平成16年7月移転)肢体不自由児施設であり、入所児童の行動観察調査5回(のべ194名の対象児童)と、職員の行動観察調査3回(のべ24名)、「もの」の配置状況調査2回をおこなった。児童の行動観察調査は7時から20時まで(13時間)10分間隔で児童の居場所と行為についてマップに書き込むタイムスタディ調査であり、職員の行動観察調査は勤務時間に対して1分間隔で居場所を行為を記述する方法とした。
結果として以下のことが判った。(1)空間のユニット化し、各室が「廊下接続型」から「リビング接続型」へと変化したことにより、障害児の自発的な室間移動が見られるようになった。特に、居室-リビング-トイレを段差の無い連続的なカーペット空間においては、これまで「いざり」や「座位移動」などによる移動が見られなかった重度障害児の自発的な移動が多く観察された。移動距離が短くなり、空間の分節に物理的障害が減少すると、移動を伴う行為の自立度が向上することが判った。(2)職員体制が大規模ケア単位からユニット担当制へと変化し、ユニット型平面施設に変化することで、職員の滞在場所と行為、関わり対象者に大きな変化が認められた。すなわち、移転前に比べて、共用空間の滞在率が62%増加しスタッフ室の滞在率が94%減少した。また、「食事介助」などの直接支援業務が減少し、「見守り」などの間接的支援業務と「声掛け」などの会話が増加、対象別関わり時間は軽度障害児が増加し重度障害児が減少した。職員の共用空間への滞在が増加したことにより、関わりに自立的な軽度障害児が職員との関わりに支配的になる様子が見られた。同時に、空間のユニット化がもたらす重度障害児の自立度の向上は、直接支援業務を減少させ、会話や見守り時間の増加に影響することがわかった。
これらから、空間のユニット化と職員の小規模化により、重度障害児の自立度と職員の居場所・行為・関わり方に大きな変化が見られることがわかった。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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