研究概要 |
インドのアーメダバードに建設されたル・コルビュジエの建築作品は4作品(3住宅、1美術館)であるが、建設されていない2計画案(2住宅)を含めて、本年度も引き続きその設計過程、それらの相互関係をコンピュータ・グラフィックス(CG)によって周辺環境を含めて再現し、環境シミュレーションの方法を検討した。資料として、すでに収集済みのル・コルビュジエの建築図面集Le Corbusier Archives, Garland、ル・コルビュジエの手帖Le Corbusier Carnets, The Architectural History Foundation及びル・コルビュジエ財団Fondation Le corbusierに保管される建築図面・書簡を用いた。 ル・コルビュジエのアーメダバードでの実践、とくに住宅作品のデザイン手法を分析した結果、「壁(とくに外壁のファサード)」と「屋根」のデザインにおける普遍性と特殊性が具体的に明らかになり、ル・コルビュジエのフランスでの実践とは異なるインドにおける異文化の受容形態のいったんを明らかにした。まとめとして、フランスでの実践とは異なるル・コルビュジエの建築語彙は明らかにインドの気候風土への対応から具体化されたものであるが、それらの新しい建築語彙は、さらに研究が深められ、普遍的な応用がインド以外の土地で試みられるところが、ル・コルビュジエの環境デザイン手法の特徴であると言える。 また、インドにおける伝統建築のル・コルビュジエの受容、デザインへの影響に関しては、アーメダバードの住宅だけではなく、美術館の建設やチャンディガールの都市計画の研究、さらに気候風土における植栽に対するデザイン手法の問題などが残されており、予備的な研究調査を実施した。
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