1.『法然上人絵伝』の中に描かれた臨終場面お調査・解析 (1)『法然上人絵伝』の中に描かれた図様の中から臨終場面を選定し、臨終場面の形式的特徴を確認するためのデータベースを作成した。 (2)上記絵画資料の臨終場面の画像データから、画像の輪郭を抽出したデータを作成し、それを基に、臨終場面の図様の中に表れた形式的特性を解析した。 (3)臨終場面の画像・文章データの相互比較を踏まえたデータの解析によって、(A)仏(B)臨終者(C)看病者の三者のおかれて居る場所ごとの形式的特徴を確認する表を作成するとともに、その表から『法然上人絵伝』に描かれた臨終の住まいの原理的特質を解析を試みた。 (4)上記の研究成果を基に、『法然上人絵伝』の臨終の住まいの形式的特徴に関する論考を試み、「臨終の住まい」の形成において<囲うこと>と<閉じつつ開く>ことが重要であることを指摘した論述を平成18年度日本建築学会大会(関東)にて発表した。 2.浄土教建築の調査 (1)毛越寺、中尊寺金色堂の敷地特性の確認および建築の造形的特徴を視認を行うとともに文献資料を収集した。浄土教建築が普遍性を保ちつつ地方へ展開する際、その地域の場所論的特性を保持しながら建築されていることを確認した。 (2)法界寺、平等院鳳凰堂の調査を行うとともに大学図書館に於いて文献資料を収集した。浄土教建築が歴史的に再構築されながら現代の形を形成している一方で、宗教的空間の中心をなす垂直的造形が守られるという仕方で再建されていることを確認した。 (3)厳島神社の調査を行うとともに広島市内の図書館にて文献思慮を収集した。浄土教の中に潜むニ重性の概念を地理的特徴を生かしながら構築している建築であることを確認した。
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