Bi-Pb系金属間化合物Bi3Pb7単相、温度130℃、重力加速度102万G、100時間の条件で超重力場実験を行った。光学顕微鏡写真から回収試料は3つの層から成り立っていることが確認された。また、EPMA組成分析から、これらの層に対応した階段状の濃度傾斜が確認された。さらに、微小領域のXRD回折から、低重力側にBi相が析出していることが分かり、原子の沈降とそれに伴う金属間化合物の分解が起きたことが確認された。 In: Pb=80:20mo1%で均一な組成、温度137-148℃、重力加速度87万Gの条件下で時間のみ31.3h、60h、150hと変えて超重力場実験を行い、濃度の時間変化を実験的に調べた。この結果、時間とともに濃度が変化し、60時間でほぼ定常状態に達したことが分かった。この実験結果と原子の沈降プロセスのシミュレーションの比較から、今回の実験条件では、沈降の拡散係数が一般的な拡散係数の10倍程度、沈降の拡散係数は10-7cm2/s程度であると見積もられた。これにより、超重力場下での沈降のメカニズムが特別に速い拡散メカニズムになっている可能性が示唆された。 組成変化がほとんど起きない温度条件下で超重力処理を施した金属間化合物(Bi3Pb7、120℃、90.5万G、100h)について陽電子消滅寿命を測定した。その結果、重力処理後の試料ではほとんど濃度変化が起きていないにもかかわらず、陽電子平均寿命が延びていることが分かった(出発:199ps、処理後:210ps)。平均寿命を延ばしたのは300psの寿命を持つ欠陥成分であり、複空孔であると考えられる。これは、出発状態から空孔濃度が増えたことを表しており、原子の沈降と空孔増加の相関関係を現在調べている。
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