研究課題
初年度に構築した「ATR法によるシリコン表面のテラヘルツ分光計測システム」を用いて、ダブルビーム方式を適用し、シリコンの水素終端及び酸化表面における化学種のテラヘルツ振動に関して以下の知見を得た。水分子がクラスターを構成する水素結合によるテラヘルツ振動ピーク(1.6THz)は水分子の重水素化によりその位置が低周波数側にシフトした。これは軽水と重水のそれぞれにおいて水素結合により形成されるネットワークのわずかな違いを反映したものと考えている。水の温度を下げることにより、水分子のテラヘルツ帯吸収は小さくなる。同様の測定についてMgOをプリズムとして行い、これらの特性が水分子自体によるものかシリコン表面に特有のものかを議論した。テラヘルツ帯における水の吸収係数はメタノールの混入により減少する。水とメタノールにより構成される分子集団(クラスター)構造の変化に起因するものと考えられる。水にある一定量以上のメタノールが混合することにより水本来のクラスター構造の維持が困難になり、水とメタノールのそれぞれの分子による安定なクラスターが新たに形成されているのではないかと推測される。アルコールの炭素数が1から2に増えるとアルコール自体のテラヘルツ吸収は小さくなる。3以上ではその変化はなくなり、プロパノールとブタノールの吸収係数は50cm^<-1>程度であった。また、シリコン表面における微量有機物としてグルコースおよびデオキシグルコースの水溶液のスペクトルを測定した。デオキシグルコースはグルコースの第2炭素原子に結合している酸素が欠落している分子である。これらの分子構造における違いは小さいがスペクトル形状には大きな違いが見られた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Applied Surface Science (印刷中)
Journal of Organometallic Chemistry (印刷中)
Conference Digest of the International Conference on Infrared and Millimeter Waves and Terahertz Electronics 30
ページ: 50-51
Extended Abstract of The International workshop on terahertz technology 1
ページ: 215-216