研究課題
誘電体材料には、ドメイン構造等の不均一性を有するものがあり、それらの局所的な誘電物性の把握が必要である。最近、誘電体を用いたデバイスは、小型化され、使用周波数が高くなっている。小型化により、局所的に生じる問題を、試料全体の誘電特性で解明するのは難しいと思われ、電極がない状態での局所領域の高局波測定法の開発が必要である。そこで本研究では、誘電体の高周波での微視的な誘電特性を、電極なしに周波数可変で得るために、非接触プローブを用いてマイクロ波の反射強度(r)を測定し、誘電率(ε_r)への変換を行った。測定装置は、発振器、方向性結合器、検出器、同軸変換器、プローブ(直径:1mmφ、及び6μmφ)により構成した。試料として、Cu-Plate、Al_2O_3(1000)(ALO)、SrTiO_3(100)(STO)単結晶基板およびBaTiO_3(BTO)焼結体(直径:7mmφ×0.5mm^3)を置いて測定を行った。測定は、プローブと試料の距離(d)を変化させて反射強度(r)を測定した。また、電磁界解析を有限差分時間領域(FDTD)法を用いて行った。周波数(f)が8.6GHzおよび9.4GHzでの、試料の反射強度(r)特性は、8.6GHzおよび近傍のその他のfではdの増加により、rは減衰したが、f=9.4GHzの場合に限り、試料近傍のd=0.2mmで最小値を取った。この現象が生じる理由として、プローブがダイポールアンテナとして動作していることを考えた。すなわちf=9.4GHzの電磁波の4分の1波長(λ/4)がプローブの長さとプローブと試料の距離(rが最小値をとる位置:d=0.2mm)と一致したとき生じるものと考えた。このことを確かめるために、FDTD法による電磁界シミュレーションを実施した。電磁界解析で得られたインピーダンス(Z=98.7Ω)とΓ(=0.34)の関係:Γ=(Z-Z_o)/(Z+Z_o)は、Z_o=50Ωとした場合に成立した。このことから、測定系は、試料とインビーダンス・マッチングを成していることが分かった。また、電磁界解析より、θは90°であった。またrの最小値でのΓをε_rへ変換を試みたところ、試料のε_rに近い値を示した。よって、反射強度の最小値の位置で、試料の誘電率測定が非接触で可能になることが分かった。
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Electroceramics in Japan VIII, Key Engineering Materials (印刷中)
Journal of the European Ceramic Society (印刷中)
日本セラミックス協会2005年・年会 (印刷中)
第52回応用物理学関係連合講演会 (印刷中)
Third international conference on microwave materials and their applications
ページ: 202
第24回電子材料研究討論会
ページ: 27