長繊維強化熱可塑性複合材料は様々な利点を有するが、樹脂の溶融粘度が非常に高いため、樹脂の繊維束への含浸が困難である。このような現状から、組物技術を利用した高含浸性中間材料であるMicro-Braided Yarnを開発してきた。Micro-Braided Yarn技術を用いた長繊維強化熱可塑性複合材料の作製のため、本年度は以下のことを実施した。 (1)成形方法および成形条件の確立 圧縮成形において、成形温度、成形圧力、加圧時間などの成形条件が含浸特性および力学的特性に及ぼす影響を明らかにした。一方向繊維強化熱可塑性複合材料を圧縮成形法により作製し、含浸特性および力学的特性を評価した。強化材として炭素繊維、マトリックス樹脂としてPA66繊維あるいはPPS繊維を用いたMicro-Braided Yarnについて検討した。 (2)含浸機構の解明およびモデル化 上記材料を用いて、断面観察により、熱可塑性樹脂の強化繊維への含浸機構を解明した。また、試験中のその場観察を行なうことにより、含浸機構と破壊機構、力学的特性の関係を解明した。さらに、有限要素法を用いた数値解析を行い、含浸状態がきれつ進展および力学的特性に及ぼす影響を定量的に解明し、材料選択、成形条件決定のための指針を見出した。
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