天然繊維で強化した生分解性樹脂複合材料の作製には、繊維および樹脂の剛性・強度などの材料物性の十分な把握が重要で、これらの力学的物性、特にヤング率などの弾性定数の異方性や、繊維と樹脂そのものの変形および破壊挙動についての調査が必要である。また製品化を想定した場合に重要視される、耐熱性・耐透湿性・耐衝撃性などの品質面に関する研究も必要である。平成16年度は、竹繊維および麻繊維の変形・破壊挙動の解明を中心に研究を行い、繊維は脆性的な破壊挙動を呈し、最弱リンク理論に基づく強度評価が可能であることを見出した。また一定の複合材料作製条件の目処をつけ、欠陥密度の低い成形条件を突き止めている。 平成17年度の研究では、複合材料成形体の欠陥密度の低減を図るとともに、強化繊維およびマトリックス樹脂の混合割合を変化させても容易に製造できる方法の確立衝撃材料特性を評価するための高速引張材料試験装置の製作と、単一の竹繊維および麻繊維の衝撃引張特性も評価可能な装置の改良の実施の2点に特化して進行した。 その結果、研究に使用した水エマルジョンタイプの生分解性樹脂の場合、複合材料の製造過程における乾燥温度および乾燥時間が、160℃を適温とし長時間の乾燥させることで製造欠陥の大幅な低減を可能とした。 実部材を想定して複合材料の試験片厚さを1〜2mmとした場合、衝撃弾性棒をアルミニウム合金とした複合材料衝撃試験装置を設計・開発した。さらに、直径0.2〜0.4mmの竹および麻繊維の場合、衝撃弾性棒を塩化ビニル材とした単一繊維衝撃試験装置も設計・開発した。これらの装置により実験を行い、複合材料の引張強度特性は準静的引張強度(ひずみ速度5.4×10-4[1/s])と衝撃的引張強度(ひずみ速度140[1/s])とを比較して17%の向上を見出した。 等の技術確立や実験結果を得た。
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