研究概要 |
Bi系熱電素子に外部磁場を印加し、熱電素子の性能を向上させる研究を推進している。これによってBi系熱電素子のゼーベック係数が1.2倍に向上するなど、熱電素子の大きな性能向上を実験的に確認している。また、ゼーベック係数の磁場依存性について、磁場中のキャリアに関するボルツマン方程式を解くことによってその磁場依存性を理論的に明らかにし、以下の事が明らかになった:1)熱電素子に外部磁場を印加することは、キャリアのサイクロトロン周波数を制御することと等価である,2)磁場中のゼーベック係数αBは、ゼーベック係数α,ネルンスト係数Nならびに磁場強度Bを用いて、αB=α+NBとかける,3)磁場中でゼーベック係数_<αB>(B)は、最適磁場B_<peak>で極値_<αB>(B_<peak>)をとる,4)ゼーベック係数の磁場依存性は、キャリアの散乱機構に大きく依存する,5)素子の形状(特にアスペクト比)によって実効的な移動度が変化する。移動度はその定義よりサイクロトロン周波数と密接な関係があり、素子の形状によって実効的な移動度とサイグロトロン周波数へ及ぼす影響を明らかにすることが求められている。 実験については、マイクロワイヤーアレイ構造素子を用いた。これは直径25μm,長さ1mmのワイヤーを断面積2×2mm程度に4500本程度束ねたものである。平成16年度の初期の段階ではワイヤー素子と電極間の接触抵抗を無視することが出来なかったため、ワイヤー端部にバルク部を残し、ナノ粒子を用いた銀ペーストを使って測定を行った。その結果、ゼーベック係数は、計算から予想された磁場依存性をほぼ再現することが明らかになった。次年度、ネルンスト係数の系統的な測定を行うために、変調コイルの設置を行った
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