研究課題
プラズマイオン注入製膜(PBIID)装置および本研究費で購入したマグネトロンスパッタリング蒸着源を用いて、金属元素を含むダイヤモンドライクカーボン(DLC)の成膜を行った。原料ガスとしては、メタン(CH_4)およびトルエン(C_7H_8)を用い、圧力1x10^<-2>torr、RF500Wで成膜を行った。印加パルス電圧を10kV程度に上げることにより、PBIIの注入効果を用いてDLC-銅混合層を作成した。集束イオンビーム加工装置(FIB)を用いて断面観察用試料を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により構造観察を行った。その際、断面観察用試料をアルゴン-酸素混合プラズマに曝露することにより炭素部分のみが選択的にエッチングされ、残った金属およびその周辺の組織が明確に観察されることを見出した。エッチング後の観察の結果、PBIID法で成膜したDLCは均一なアモルファス構造ではなく、数nmから十nm程度の細長いドメインを形成し、さらにそれがネットワークを形成していることが明らかになった。応用物性としては、摩擦特性と生体親和性の評価を行った。本手法でシリコン基板上に成膜したDLCの摩擦係数を測定したところ、商品化されている未ドープDLC(イオンプレーティング法にて成膜されたもの)と同様、0.1程度を示し、良好な摺動特性を示すことが明らかになった。また細胞接着性も80%以上の高い値を示した。1ミクロン以上の厚膜を作製するために、金属供給手法として電子ビーム蒸着を利用することを検討し、その基礎実験を行った。
すべて 2006 2005
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B 242,1-2
ページ: 48-50
Surface and Coatings Technology 196,1-3
ページ: 211-215