研究概要 |
今年度は,マグネシウム合金板からアルミニウム系と同様なセル構造体を作製できるかどうかについて重点的な研究を行った. 市販のAZ31マグネシウム合金圧延材と水素化チタン粉末を用意した.板の間に水素化チタン粉末を1〜2質量%挿入し,ホットプレス装置を用いて拡散接合した.さらに厚みが半分になるまで圧延を繰り返し,最後に半分に切断した.切断した板を積み重ね再び拡散接合した.このサイクルを4回繰り返し,マグネシウム合金中に水素化チタン粉末が均一に分散した板プリフォーム板を得た. プリフォーム板から7×7×3ミリの形状の試験片を採取し,発泡試験を行った.アルゴンガス雰囲気中で高周波コイルによる誘導加熱を行った結果,温度が増加するにつれて,試験片は,板圧方向に膨張し,ほぼ球形となった.更に加熱を続けると収縮し,つぶれてしまった.本研究で得られた試験片の最大気孔率は0.77であり,その内部は完全な中空となっていた.球殻の厚みは約1mmであった. 今回,AZ31マグネシウム合金板から発泡マグネシウムを作製することに成功した.これはマグネシウム系においてもアルミニウムと同様なポーラス金属の作製が可能であることを示唆している.しかしながら,アルミニウム系に比べてAZ31マグネシウム合金では,ポアが容易に合体,粗大化し,多孔質体の作製が困難であることが明らかとなった.この理由は,マトリックス金属の粘性が大きく影響していると考えられる.したがって次年度は,発泡マグネシウムのセル構造の最適化を目指して,AZ31合金以外のマグネシウム合金を用いて,様々の温度条件の下で実験を行う予定である.
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