研究概要 |
昨年度は,AZ31マグネシウム合金のみを用いて,発泡試験を行ったが,今年度は,新たにAZ91,ZA146マグネシウム合金板を出発材料として,発泡マグネシウムの作製を試みた. 発泡剤として水素化チタン粒子を用い,拡散接合,切断,積層の行程を繰り返すことにより,マグネシウム合金中に水素化チタン粒子が均一に分散したプリフォームを作製できた.アルゴン雰囲気中でプリフォームを加熱することにより,発泡試験を行った.気孔率に関しては3種類ともほぼ同じであり,最大60%であった.しかしながら内部のセル構造には大きな違いがあり,融点の低いAZ91,ZA146合金ほど平均ポアサイズが小さくなる傾向にあった. この原因について,調べるために,熱電対をプリフォームに埋め込んで発泡試験を行い,温度プロファイルの影響を詳細に調べた結果,固体と液体が共存する温度域が広い合金ほど,その領域において,優先的に発泡することがわかった. 最もセルサイズが小さかったZA146マグネシウム発泡体について,圧縮試験により,機械的特性を評価した.その結果,応力-ひずみ曲線は,波打った形状となり,脆性的な変形挙動を示した.これは,セル壁のZA146合金の脆性的な変形特性を反映している.しかしながら,比強度は,通常のアルミニウムフォームよりも高い値を示した. 本研究により,従来,化学的に活性であるため,発泡体を作製することが困難であると考えられてきたが,今回採用した拡散接合法を用いれば,どのような種類のマグネシウム合金であっても,比較的簡単に発泡体を作製できることが示された.また構造用マグネシウム合金として広く使用されているAZ31合金は,発泡体の作製には適しておらず,添加元素量の多い鋳造用マグネシウム合金が発泡に適していることがわかった.今後,様々な種類の合金を比較することにより,発泡に最適なマグネシウム合金が見つかるであろう.
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