昨年度より継続して、屋外環境下に設置した曝露試験架台において、種々の鋼材の大気曝露試験を実施した。この際、同条件下に置かれたACMセンサの出力と、百葉箱に設置した温湿度センサ出力をモニタした。また、同じ大気条件下にありながら、降雨の影響は受けないようにした覆い付き曝露架台も用いて、腐食挙動の違いを検討した。 降雨の影響に関しては、従来から予想されていた2種類の効果、すなわち材料表面に形成される水膜を厚くすることによる腐食促進効果と、逆に表面に付着した塩分を洗浄することによる腐食抑制効果とが、実際に定量的に観測された。また、覆い付き曝露架台に設置したACMセンサ出力と通常のセンサ出力の違いを検討し、センサ出力への降雨の影響について知見を得た。 曝露期間は、1ヶ月ごとに交換しながら通年行い、また同時に並行して2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月そして以前から継続して曝露した24ヶ月試験片についても、腐食量をACMセンサ出力とともに整理した。炭素鋼の大気腐食速度は曝露時間の経過とともに低下し、腐食が進行するにつれて、錆による抑制がないときの腐食量の積算値より小さくなることが確認された。また環境が特に厳しくない限り、錆による抑制効果が現れて腐食の進行が緩やかになるこの傾向は、すべての曝露地にも共通して現れた。 代表的な1年間について数ヶ月〜1年の大気曝露試験の結果を1ヶ月ごとの腐食量の積算値で整理することで、数年先の腐食量が推定する目処が立った。最終的には、1ヶ月ごとの曝露試験片の腐食量と同条件下に置かれた1ヶ月のACMセンサ出力との対応付けにより、センサ出力データによって数年間オーダーの腐食量が評価できる。
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