研究課題
16年度は一対のp-n素子の電極形成技術の確立を目指した。接合法の基本として酸化物の特長を活かした焼結法を採用した。焼結法では電極部材(金属シート等)と酸化物をホットプレスにより焼結させた。この時、素子の大量合成において本年度購入した遊星型ボールミルが役に立った。電極接合を焼結で行う場合、接合材も最適なものにしない限り、単なる焼結を行っても良い成果は期待できない。そこで本研究の課題である低抵抗、高機械強度、高安定性を実現するために、接合材と電極部材の表面を改質する。具体的には酸化物と電極部材の間に入る接合材への酸化物複合と酸化物素子と電極部材間への金属メッシュ挿入を行った。本年度はモジュール製造に最適な接合形態を決定することを試みた。その結果、酸化物熱電材料と相性の良い、つまり、接触抵抗が小さく、かつ耐久性、熱履歴性にも優れた電極部材及び接合材を決定できた。電極部材としては金、銀、白金のメッシュ及びシート、それらの複合体を用いた。その結果、銀シートのみあるいは銀シート上に銀メッシュを載せた複合電極で、接触抵抗が低くなり、加熱-冷却サイクルに対する耐久性も高くなった。一方、接合材として、銀ペースト、銀ペーストと酸化物粉末の複合体、さらに銀粉末と酸化物粉末ポリマー中に分散し、乾燥させたフィルムを用いた場合の接触抵抗及び熱履歴性を調べた。その結果、銀ペーストに酸化物粉末を添加した複合材で最も優れた特性を示した。この方法で作製したモジュールは優れた電気・耐熱特性を示し応用化への道が開けた。来年度はこれら材質と電気及び機械特性との関係を定量的に調べ、さらなる接合特性の改善と応用可能な発電モジュールの作製を試みる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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