研究課題
本年度得られた成果を以下に示す。1.浮遊試料の測温には非接触の放射温度計を使用する必要がある。しかし、通常の温度計では表面での酸化物の生成や、固相から液相への変化にともなう放射率の変化によって温度の計測値が大きく変化する。そこで、紫外域の光の強度から温度を測定する、紫外放射温度計を作成して測定に利用した。紫外光はわずかな温度変化で強度が大きく変化するため、これを用いて温度を測定すると放射率変化の影響を受けにくいが、強度が小さいので高感度の測定装置が必要である。そこで、本研究では検出感度に優れる光電子増倍管を紫外線の検出に利用した。高温炉の中に配置した黒鉛製の空洞の温度を測定し、同時に熱電対で測定した温度に表示温度をあわせることで紫外放射温度計を校正した。2.溶融銅の表面張力を自由落下式液滴振動法で測定した。落下中の直径の時間変化から算出した周波数スペクトル上にはL2のモードのピークが一つだけ存在しており、落下中の試料の振動は単純になっていることを確認した。この周波数と試料の重量からRayleighの式を用いて表面張力を算出した。測定温度は1287Kから1998Kであり、銅の融点の1356Kを下回る過冷却領域から高温まで広い温度範囲で測定を実施することができた。また、雰囲気中の酸素分圧の評価も実施した。3.静滴法により、溶融SUS304の表面張力を測定した。試料中の硫黄量を10ppmから250ppmまで変化させて測定を行い、表面張力に及ぼす影響を調査した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Measurement Science and Technology Vol.16,No.2
ページ: 432-437
Journal of Materials Science Vol.40(in press)