研究概要 |
本年度において変形・分裂を伴う気泡・液滴ダイナミクスの評価を実施する計画であったが,当初の目標に設定していたところの評価までは到達できなかった. これは,実験装置本体の作製が予想以上に困難であったことに起因する.本研究では,実験装置内の上下固体壁が互いに逆方向に動く仕組みとし,Matrix流体(Carreau-Yasudaモデル流体)中の液滴の変形・分裂現象を調べることとしていた.装置本体には,上下固体壁駆動用のモーターをアクリル板に取り付ける必要があり,モータとアクリル板とのシールが非常に難しい問題となった.装置完成に時間がかかったが,実験システムの完全構築に向けたテスト実験を行った.すなわち,Shear-thinning流体中に密度がほぼ同じである3種類のオイルにより液滴を生成して剪断を付加した.ビデオカメラで撮影し,評価関数となるDefomation parameter, Capillary数,Reynolds数および粘度比も併せて評価した. また,数値解析法の検討を行った.解析では,液々界面を数値的に追跡する手法としてCoupled Level-Set/Volume-Of-Fluid(CLSVOF)法を用いるが,Level-Set法をベースとした方法を代表的とした従来法では,二相界面での密度や粘度の不連続を緩和するための数値的緩衝領域が設定されてきた.本研究では,界面での密度や粘度の不連続を維持したまま解析する方法(Sharp Interface Method)を新たに採用することとし,従来のニュートン流体系での実験・数値解析結果と比較して有効性を検討した. 現在,実験をメインとして研究を続行中であり,目標まで達成できる見通しである.
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