研究概要 |
熱・物質に関わる流体工学分野における液相濃度に支配される現象(例えば,晶析に伴う二重拡散対流)について,液相濃度の計測技術の停滞が現象解明を含め,この分野の進展の大きな障害となっていると考えられる.本研究では新規計測システムの構築が重要な課題と捉え,2種のレーザ可視化技術を併用した温度場・濃度場同時計測システム,HI-LIFを開発している.基本概念は従来別個に使用される「干渉縞から屈折率場を計測するレーザホログラフィー(HI)」と「レーザ励起された物質が発する蛍光の温度依存性を利用して温度場を計測するレーザ誘起蛍光法(LIF)」を同時使用し,水溶液の屈折率と温度・濃度の関係から,それぞれの屈折率場,温度場情報より濃度場を間接的に割り出そうとするものである. 昨年までの研究において,LIFについて実験技術的に液相の温度変化を蛍光量の相違として獲得済みであったが,任意箇所の蛍光量を温度情報として定量化する段階で,如何なる方法で,如何にこれを精度良く行うかが問題であった. これまでLIFにおいては分光計測器等による蛍光の点計測が一般的であった中,本研究の本年度は,空間に放射される光の量を輝度(単位はcd/m^2)として二次元計測できる,面色分布測定装置をLIFへ導入することを試みた.まず,同計測器を用いたLIF計測が最良の状態で実施できるよう,装置環境・実験手順・方策を開発した.また輝度と温度の関係は直線的に得られ,それを示温量とできることを確認した.さらに関係の定式化を行った.現時点で輝度から温度が±1℃以内で二次元計測でき,同計測器が本研究で目指しているHI-LIFの完成に大きく資するものであることが分かった.
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