固体酸化物形燃料電池(SOFC)は高温で作動するため、理論効率が高い。しかし、高温のため電極触媒の焼結が進行しやすく劣化してしまうという欠点を持つ。構成材料の中でアノードに使用されているNiは、金属であるため焼結に伴う粒成長も生じやすいという問題点がある。高温で微粒子状態を維持できる触媒を用いることができればその問題を改善策することが可能となる。本研究では、SOFCアノード材料として貴金属を担持したペロブスカイトを用い、高温運転時においても劣化の少ない電極の開発を目指した。 燃料極材料としてLaFe_<1-X-Y>Co_XPd_YO_3(LFCP)、La_<1-Z>Sr_ZFe_<1-X-Y>Co_XPd_YO_3(LSFCP)、La_<0.85>Sr_<0.15>Cr_<0.9>Ni_<0.05>Pd_<0.05>O_3(LSCNP)およびLa_<0.85>Sr_<0.15>Cr_<0.9>Ni_<0.1>O_3(LSCN)をクエン酸錯体法により作製した。粒径、結晶構造の評価、発電用セルを作製し電流-電圧特性の評価を行った。作製した粉末試料は還元雰囲気にさらすことで、結晶構造に変化が生じ、またさらに酸化雰囲気にさらすことで、また同じ結晶構造に戻った。 発電測定では、水素を燃料とした時、全ての材料で発電が可能であった。中でもLSCNPはSDCとの混合電極としたとき、炉内温度が900℃で最大電流密度約780mA/cm^2を得ることができた。さらに、LSCNP-SDC混合電極は、燃料に無加湿のメタンを用いて発電を行うことができた。また、メタン発電後に再び、水素で発電を行った結果、ほぼ同じ出力を得たため、炭素析出を抑制できることがわかった。Pdの添加されていない電極及びSDCを混合していない電極ではメタン燃料では開放起電力が0に近かった。Pdの添加、及びSDCを混合することにより燃料極の有効反応場が増加し、出力を高めることが可能になった。
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