研究概要 |
バイオマス廃棄物は、活性炭等の機能性材料に転換することが期待されているが、通常の炭素化では強度が低い上に密度も小さい。本研究では、そのようなバイオマス廃棄物を機械的な荷重を加えながら加熱するポジトプレス炭素化法を用いて高密度化し、その後賦活処理を施すことで、高密度・高強度な高性能活性炭を製造することを目的としている。本年度は、おがくずを試料としてホットプレス炭素化法の有用性について検討した。 ホットプレス炭素化法を適用する場合、試料に機械的な荷重を負荷する温度域が非常に重要であると考えられる。機械的な荷重を負荷する温度域を検討した結果、280〜380℃の温度域で機械的な荷重を負荷すると試料が溶融し、高密度な成形体を製造できないことがわかった。そのため、負荷する温度域を室温〜280℃(MODE I)と380℃〜500℃(MODE II)の間で検討した。MODE Iにおいては、負荷する温度域が高くなればなるほど成形体の密度は高くなり、280℃まで負荷すると炭素化後の密度が1.2g/cm^3まで向上した。その後水蒸気で賦活を行っても試料が割れたりすることがなく、高密度な成形活性炭を製造することができた。ただし、負荷する温度が高くなると賦活後の活性炭の表面積が低下するため、240℃まで負荷するのが最適な条件であることがわかった。この時に得られた活性炭は、密度0,9g/cm^3、BET表面積1050m^2/g、破壊強度7MPaであり、密度と破壊強度が飛躍的に増加した。また収率も炭素化時で26%にもなっており、ホットプレス炭素化で1.7倍にもなった。また、MODE IIでも同様の効果が見られたが、BET表面積はやや低下しており、おがくずに関しては、室温から240℃まで負荷する方法がBET表面積をほとんど低下させずに密度と強度を飛躍的に増加させる最適な条件であることが明らかになった。
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