シリカメゾ多孔体上での酸触媒反応 規則性シリカメゾ多孔体の酸特性に注目し、Friedel-Craftsアシル化反応における触媒活性を検討した。当研究室で合成したシリカメゾ多孔体MCM-41の存在下、ニトロベンゼン中180℃以上でアニソールの酸無水物によるアシル化反応が進行し、対応する芳香族ケトンを収率90%以上(GC収率)で得た。これに対し、市販のシリカゲルやMCM-41と同じ原料から調製したシリカゲルを同条件に付しても全く反応が進行しなかった。この結果はMCM-41の活性がその構成成分ではなく規則的構造に由来するものであることを示す。 一方、同反応を高級炭化水素中で行うと、酸無水物基準の収率が200%近くに達することを究明した。この結果を基に、検討内容をカルボン酸によるアシル化反応へと展開した。その結果、MCM-41上で様々なカルボン酸によるアニソールのアシル化が収率よく進行することを見出した。カルボン酸によるFriedel-Craftsアシル化反応は従来超強酸触媒が必要とされているが、本来中性である筈のシリカが、規則性メゾ細孔構造を形成することにより超強酸に匹敵する触媒活性を発揮した事実は特筆に価する。 シリカメゾ多孔体上での不斉合成反応 すでにチタンイオンを高分散状態で担持したシリカメゾ多孔体を触媒とすると、酒石酸存在下、過酸化水素によってスルフィドが対応するスルホキシドに30%程度の不斉選択収率で酸化されることを見出している。本研究では酒石酸系を上回る選択性を与えうる不斉源について効率的かつ広範に検討し、電子吸引基を持つ酒石酸モノアニリド誘導体が最高58%の不斉選択収率を示すことを明らかにした。さらに不斉源が選択性に与える効果について速度論的に解析し、比較的よい選択性を発揮する不斉源はスルホキシドの速度分割に対し特に効果的であることを明らかにした。
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