研究課題
本研究ではポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)の表面に大気圧プラズマを照射して表面処理を施すことにより、化学物質の溶出量を低減することを目的とした。また、プラスチック廃棄後の2次利用を考慮し、油化プロセスにおけるプラスチックの混合の影響についても検討した。プラスチック表面に大気圧プラズマ処理を施すことにより、表面の元素組成が変化し、酸素量が増加した。これはプラズマ内の高いエネルギーを有する原子がポリマー表面に衝突することでポリマーの結合が切断されてラジカルが生成し、処理後にはほとんどのラジカルが再結合して架橋を形成し、一部が空気中の酸素と反応したためと考えられる。処理後のプラスチックを熱水中で放置し、溶出するモノマー、添加剤などの化学物質の量を測定した。その結果、PVCについては可塑剤であるフタル酸エステル、安定剤であるスズ化合物の溶出量が減少した。したがって、プラズマ処理は、表面に架橋が形成し、化学物質を内部に閉じこめる効果があると考えられる。また、PSについてはモノマーであるスチレンの溶出量が減少した。しかし、PCについてはモノマーであるビスフェノールAの溶出量に変化はなかった。これより、PCのような"硬い"プラスチックについては、より高い出力のプラズマで処理する必要があると考えられる。プラスチック廃棄後の油化プロセスにおける混合の影響を代表的な汎用プラスチックであるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PSについて検討した。高圧下ではPEとPSを混合して熱分解すると、単独で熱分解した時に比べ約2倍のガス収量が得られた。これより、混合プラスチックの高圧熱分解では液相での溶解促進及びラジカル供与により最も高温で分解するポリエチレンの分解を低温から促進できることが示唆された。
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