1.アルキル化デンドロン内包Pd、Pd-Pt触媒による共役ジエンやアセチレンの選択的水素化反応 ピリジンをコアとするアミドアミンタイプのデンドロンを調製した。このデンドロンは、DMF溶媒中で自己集合し、球状集合体を形成する。この集合体に[Pd(C_3H_5)Cl]_2を加えた後、還元するとPd超微粒子が生成する。デンドロン集合体の粒子径とデンドロンの分子径より求めた集合体の内部空孔のサイズ分布は、Pd粒子の粒子径分布と一致する。デンドロンの世代数および末端基の鎖長を変えることで集合体の粒子制御と金属超微粒子のサイズ制御が可能となる。また、前駆体に白金、パラジウム錯体を同時に用いることで、Pd-Ptバイメタル超微粒子を調製することにも成功した。これらのナノ粒子は水素化反応条件下でも安定である。また、極性官能基をもつオレフィンは、デンドロン骨格内に優先的に取り込まれ選択的に反応が進行する。 2.四級化ポリアミンデンドリマーを用いたルイス塩基触媒の開発 末端を長鎖アルキル基で修飾した単分子逆ミセル状のデンドリマーを合成し、内部の三級アミン基を四級化した。この四級化デンドリマーは、トルエン溶媒中でシリルエノラートの向山アルドール反応の触媒となる。四級アミノ基はルイス塩基触媒として基質のシリル基を活性化し反応を進行させる。また、一般に用いられる四級アンモニウム塩は、トルエン中では不活性であり、デンドリマー骨格に集積されたアンモニウム基が有効に作用していることが示された。 3.Rh錯体内包ポリアミンデンドリマーによるヒドロホルミル化 上記のアルキル化デンドリマーにRhジフェニルホスフィノ安息香酸錯体を反応させるとRh錯体内包型のデンドリマーが得られ、長鎖オレフィンのヒドロホルミル化を優先的に進行させることを見出した。 これらの結果は、日本化学会速報誌(Chem.Lett.)に掲載している。
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