研究概要 |
既にゲノム解析により,高度好塩性古細菌Halobacterium sp.NRC-1株にはキチナーゼホモログをコードする遺伝子が存在することが報告されているが,タンパク質としての実態は明らかにされていない。本研究ではNRC-1株キチナーゼの酵素学的性質,耐塩機構の解明および工学応用を目指した研究を行った。以下1および2に研究実績の概要を示す。 1.Halobacterium sp.NRC-1株キチナーゼ遺伝子発現型プラスミドの構築 既報のNRC-1株キチナーゼ遺伝子の配列に基づき設計したPCRプライマーを用いて,NRC-1株染色体DNAを鋳型とするPCRを行った。得られたキチナーゼ遺伝子(シグナルペプチドおよび成熟タンパク質をコードする領域)を高度好塩性古細菌Haloarcula japonicaαにおいて多量に発現しているCSG遺伝子プロモーターの下流に連結し,高度好塩性古細菌-大腸菌シャトルベクターpWL102に挿入することにより,高度好塩性古細菌用キチナーゼ遺伝子発現型プラスミドを構築した。 2.Haloarcula japonicaにおけるキチナーゼ遺伝子の発現 発現型プラスミドをHaloarcula japonicaに形質転換し,形質転換体の培養上清におけるキチナーゼ活性の測定を行った。その結果,キチナーゼ活性が検出され,Ha.japonicaにおいてCSG遺伝子プロモーターの働きでNRC-1株キチナーゼ遺伝子が発現し,組換え型キチナーゼが菌体外分泌されたことが確認された。
|