研究課題
本年度は、抗体遺伝子再構成を行ったB細胞を可視化するための前段階として、2種類の蛍光タンパク遺伝子と抗体遺伝子再構成に必須のタンパクであるRAGの認識配列(RSS)を用いて人工基質を作成し、実際にそのシステムが作動するかどうかについて検討した。本研究において作成した人工基質では、プロモーターの下流に緑色蛍光タンパク遺伝子(EGFP)と赤色蛍光タンパク遺伝子(DsRed2)を互いに逆方向に配置し、その両端に互いに逆方向にRSS配列を配置した。このシステムでは、RAGが発現するとRSS間の遺伝子の反転がおこるため、蛍光が変化すると考えられる。以後、このベクターを抗体遺伝子再構成を行ったB細胞を検出するための人工基質として用いることとした。また、B細胞に遺伝子導入することを想定し、B細胞へも遺伝子導入効率の高いレトロウイルスベクターを用いた。次に、作成した人工基質が作動するかどうか確認するため、RAGを発現していないマウス繊維芽細胞であるNIH3T3細胞に人工基質を保持したレトロウイルスを感染させた。その結果、FACS解析により、これらの細胞が緑色蛍光タンパクを発現していることを検出できた。その後、この細胞にRAG-1,RAG-2遺伝子を導入した結果、RAG-、RAG-2のみの発現では赤色蛍光タンパクは検出できなかったが、共発現させた細胞においてのみ、赤色蛍光を発する細胞を検出することができた。これらのことより、抗体遺伝子再構成を行ったB細胞を可視化し検出するための実験システムを確立できたと考えられる。今後、本システムをBリンパ球に応用、詳細な解析を行う予定である。
すべて 2005
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Immunology Letters 96
ページ: 47-54