複合領域設計最適化問題は一般に複数の自的関数と複数の制約条件をもち、再使用型宇宙往還機の設計最適化問題も例外ではない。さまざまな設計最適手法のなかで、進化アルゴリズムはパレート最適性の概念を取り入れることで多目的最適化問題におけるパレート最適解群を効率的に得ることが出来ることから、複合領域設計最適化問題に対して非常に有効な手段として考えられている。しかしながら進化アルゴリズムは制約条件を取り扱う機構をもっていないため、ペナルティ手法などの方法が一般に用いられるが、さまざまなパラメータを適切に設定しなくてはいけない、ロバスト性にかける、などの欠点をもっている。 よって、本研究の一年目では、目的関数の最適性の評価手法であるパレート最適性の概念を制約条件の取り扱いにも適用する新たな制約条件取り扱い手法を開発した。この手法に基づいた進化アルゴリズムを用いて2段式宇宙往還機の概念設計を行うことで、従来の手法より優れた概念設計を得ることが出来た。また、制約条件同士のトレードオフ情報も得ることが出来た。 今後は、より信頼性の高い数値流体力学なども組み合わせた宇宙往還機の形状設計最適設計を行っていく予定である。
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