自律型海中ロボットのマルチエージェントにより、時間空間的に連続な海中環境調査を可能にするシステム構築を目標として、本年度は水槽実験システムの基礎を構築した。構築した内容は、ロボット水槽内での3次元座標を検出するLBL、約45kgfの大型AUVテストベッド、約3kgfの小型AUVテストベッド、2値FSKによる水中超音波シリアル通信装置である。大型AUVテストベッドは、PC104DOS/VとRT-Linuxによるシステム構成とし、無線LANにより陸上のPCと水中の小型AUVのインターフェースとなるものである。静穏な実海域でも実験できることを念頭に開発し、バッテリは700Wh、スラスタ推力最大2kgf、計算上の最大速力0.8kt、最大水深50mである。小型AUVテストベッドは、マルチエージェント実験を水槽内の実システムで実施するために開発した。小型軽量化し、安価に製作できる。耐圧容器は計算上水深30m程度まで耐えられる設計となっており、国内の殆どの水槽で実験できる。CPUにはSH-2と複数のPICを用いており、方位角、LBL、超音波通信機能を有している。超音波通信は、2進FSKによるシリアル通信であ9、複数の文字列を送受信する実験に成功している。多少の修正項目はあるが、本年度で、上記要素システム単体での動作確認を行い、それぞれの基本機能の開発はほぽ終了しつつある。今後ロボットの制御システムを構築し、水中での複数エージェントシミュレーションを実施しながら、上記システムによる水槽実験を実施していく予定である。
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