沿岸域調査の次世代のツールとして、複数の水中ロボットがグループになって時間空間的に連続なデータ収集を行うシステムが考えられる。従来の水中観測システムでは、点観測が主体であったが、この方式では、水中で立体的な連続モニタリングが可能になると思われ、人工衛星による表面観測とデータを併せることで、従来に無い時間空間スケールでの観測が可能になるものと期待できる。 本研究では、このような観測システム開発の基礎段階として、水槽実験システムを構築した。多点同時観測的な側面が重要であるので、各AUVや洋上、海底のロボット間の通信、各ロボットの地球座標の共有(すなわち誰がどこにいるのかの認識)、及び、外乱の影響により編隊が乱れたときの対応策と言った機能を実験システムに組み込む必要があった。そこで、本研究では、直径約18cmの小型AUVプラットフォーム、100KHzリング状振動子を用いた無指向性超音波測距装置とそれを組み合わせた水槽内LBLシステムを構築した。小型AUVプラットフォームは、コンパクトフラッシュカードにRTLinuxを搭載したPC104コンピュータとPICを用いて、小型軽量安価ながら十分な機能を持たせた。LBLは、3m程度の距離を3cm程度の精度で測距できる回路を設計製作し、座標検出が可能になった。協調制御については、各AUVの座標が既知でそれぞれの位置を他AUVが知りうるという前提で、軌道追従のシミュレーションを行った。この作業を通じて、各AUVの座標を如何にして実システムで共有するか、の手法開発がキーであることが明らかになり、今後継続して検討していく。
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