今年度は、次の三項目について研究を行った。1:CIP法の作成、2:適忘格子法の検討、3:富山湾の三次元数値シミュレーション。1のCIP法については、2次元での移流方程式についてプログラムを作成し、クーラン数の検討や、数値振動の回避、また、海洋シミュレーションに直接関係する波の伝播について本研究での基本的な部分の整備を行った。さらに、密度の異なる層が存在する場合にその境界での相互干渉についてのシミュレーションの検討を行った。2の適応格子法については、四分木型のデータ構造を用いることで二次元に関する浅水方程式を解けるようになった。この手法にETOPO5などの富山湾の地形を導入することで、湾内の流れを大まかに捉えることができた。結果としては、能登半島先端部での複雑な流れが存在することを示すことができ、さちに、湾南部で卓越しでいるといわれている東向流の存在を再現することができた。また、これらのシミュレーションから得られた流れ場については、ADCP現地調査から得られたデータと比較検証を行ない、定性的な湾内の流れ場は概ね再現できたことが確認された。この検討研究については、2005年度日本海洋学会春季大会で発表を行った。3については、CIP法や適応格子法は利用していないが、湧昇再現シミユレーションを行う場合に三次元的な検討は不可欠であるために、実際に構造格子型多層モデルのソフトウェアを開発しシミュレーションを行りた。このシミュレーションでは、富山湾で卓越する北東風や南西風により、富山湾南東部の新湊市や氷見市付近で湧昇や沈降といつた鉛直方向の流れが生じることを確認できた。この結果とCTDデータを比較し、湧昇を含む風による鉛直循環流れを検討した。なお、この研究についてはく平成16年度北陸地区学生による研究発表会で発表を行った。
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