研究課題
モータを始めとする産業機器へ高温超電導バルク材料を組み込む用途において、パルス着磁法はバルクを磁化するために適しているが、実用化のためにはバルクの発熱に起因する磁束線の捕捉性能の低下という問題を解決する必要がある。この磁気特性の向上には、バルク材料の改良と着磁法自体の改良という二つの方法が考えられるが、本研究では外部印加パルス波形を適切に制御することによってバルクの磁気特性を静磁場着磁法並に向上させることを目的としている。着磁のためのパルス磁場は、コンデンサに蓄電した電気エネルギーの過渡放電によって生成するパルス電流から発生させた。放電回路のインピーダンスを変化させることでパルス波形を変化させることができた。本研究ではさらに、複数個に分割したコンデンサバンクから流す電流の位相をずらすことによって、パルス波形を変化させることを試みた。また、着磁コイルに対して電流を断続的に流すことで、パルス波形を大きく変化させることを試みた。試料には主に溶融法で作成したφ60×19mm、φ44×19mmのGd-Ba-Cu-Oバルクを用いた。現在東京海洋大学等との共同研究で開発中の高温超電導モータ内部での条件を考慮して、バルクは電機子と同じ形状で1.3mHの渦巻型多層円筒ソレノイドコイル2個によって挟み込む形に配置した。本研究では放電回路にコンデンサバンクと電流位相制御用のインダクタを増設し、それぞれのコンデンサから流れる電流から生成したパルス磁場によってバルクの着磁を試みた。パルス波形の制御を行わなかった場合の立ち上がり時間4.2msに対し、立ち上がり時間が8.4msへと変化するように波形を制御したところ、0.3T程度であった捕捉磁束密度を0.8T程度にまで増加させることができた。この時の最大外部印加磁束密度は4.4Tであった。この結果から、パルス波形の制御によって高温超電導体バルクの捕捉磁束密度の向上と最適化が可能であることが示された。
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