研究概要 |
平成16年度は以下の研究を行うことにより,高温高圧水環境下における花崗岩の応力腐食割れ挙動に関する知見を得るとともに,岩石/熱水相互作用を考慮した花崗岩のき裂進展数値シミュレーションコードの基礎を構築した。 1.高温高圧水環境下における花崗岩の応力腐食割れ現象の解明のため,岩種の異なる3種類の露頭花崗岩(飯館花崗岩,筑波花崗岩,滝谷花崗岩)および地下深部より採取された岩石コアを用いた3軸圧縮試験および透水試験を行った.き裂面近傍および外縁部のき裂密度の計測を行うことにより,これまでの研究により見出していた熱水誘起微視割れに加えて,主き裂近傍においては応力作用効果により微視割れが促進されることが見いだされた.また異なる花崗岩種の比較により,地下深部より採取した花崗岩においては熱水誘起割れがあまり発生しないことが新たに見出された. 2.破壊特性に及ぼすひずみ速度の影響を観察するため,上述の露頭花崗岩を用いて,ひずみ速度を変化させた3軸圧縮試験を実施した.本研究で用いたひずみ速度の範囲においては,高温高圧水環境,特に超臨界水環境下においてはひずみ速度が減少するに従いせん断破壊強度が小さくなることが示された.これは,上述の結果と合わせて示されるように,高温高圧水環境下においてき裂面近傍における応力腐食割れが顕著になるために,花崗岩のせん断強度が低下したものと考えられる.以上の結果は,高温高圧環境となる地下岩体の力学挙動を解析するための重要な知見となる.
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