本研究は、材料科学的手法を用いて、レーザー核融合初期過程を制御することを目的とする。既に、ペリレン・フタロシアニンを100nmづつ燃料カプセルにコートすると、スパイク状のダメージは観察されず、入射側から均一にレーザー光が吸収、上流側からアブレーションの起こることも確認している。カプセルとなり得るポリイミドに化学ドープさせることにより、コート材料を用いずに燃料カプセル自体にアブレーション機能を付与させる。また、ドーパントをうまく選んで、そのガラスレーザーの二倍高調波の530nmに対しても、応答性を持たせて、実際にレーザー爆縮に応用可能な材料を見いだす。 本年度は、ポリイミド薄膜に対して、ジメチルアニリン、テトラキスアミノエチレンなどの電子供与体を化学ドープさせた。ドープ方法として、浸漬法や混合キャスト法などを検討した。これらに対して、元素分析や重量測定により、ドープ量を見積もる。また、可視吸収スペクトルや蛍光測定による、ドープ分子とポリイミドとの相互作用について検討した。あるドーパントについて、きわめて興味深い現象を見いださした。これまで知られるドーパントよりも高い光導電性が見られた。また、その光応答領域はポリイミドの吸収よりも長波長側に存在し、530nm光でも光導電性が見られた。今後、光反射特性も検討してゆく。
|