研究概要 |
・大型ヘリカル装置(LHD)の第一壁損耗に関する分析を行うため,真空容器内にLHDプラズマの試料サンプルの設置を行った.使用するサンプルは第一壁と同素材のSUS316,および金属不純物の堆積を明確にするため炭素材を用いた. また,熱粒子束による影響を観測するため,赤外線カメラによるプラズマ放電中の第一壁近傍挙動について観測を行なった.同時に,既設の第一壁背面に設置された熱電対による測定も行なった. ・第一壁上での温度変化として,長時間・定常運転時には熱の蓄積による温度上昇が観測され,30分の放電では変化分として最大50度程度の温度上昇が確認された.これは主にICRF加熱によりアンテナ近傍から発生した高速粒子による影響と考えられる. ・また,1T以下の低磁場実験では,強磁場(約2.8T)運転時よりもプラズマの閉じ込めが劣化することから,カーボンを用いた第一壁の箇所などでは局部的に熱が集中したと思われる現象が確認された.この測定箇所に用いられていた壁タイルに対し電子顕微鏡を用いた表面分析を行なったが,表面上には再堆積物は確認できなかった.しかし,タイル作成時から存在する開口部(直径数10μm)内に,多数の炭素ダストが確認された.これらがプラズマ実験時にタイル表面に存在した可能性がある. ・平成17年度はプラズマとの相互作用を明らかにするため,プラズマ-壁間の距離が近い内壁領域で放射損失の強い放電を実施し,これらの関係を明らかにする.
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