研究概要 |
大型ヘリカル装置(LHD)において,プラズマによる放射損失,熱流束による第一壁との影響を明らかにするため,材料サンプルによる挿入実験・表面分析,および赤外線カメラや既設の熱電対による壁温度計測による評価を継続して行なっている. 赤外線カメラによる計測でダイバータ領域を含むCFC材対向壁を観測した際に得られた現象は3つに分けることが出来ることが明らかとなった.第1にはECH加熱の入射開始に伴うダイバータレッグ周辺の温度上昇,第2はプラズマ中のダスト粒子の移動,第3はプラズマ崩壊時の広範囲におけるタイル上の局所的温度上昇現象であった.第3の現象はプラズマ崩壊後に観測されており,またタイルの表面分析を行なったところ,薄膜状になったままバルクタイルに繋がっているカーボン片に局所的な熱が集中した結果であると考えられる.また,局所的な温度上昇に伴い剥離過程に至るかどうかについては,今後さらに実験を行なう必要がある. ICRF加熱による長時間放電において,局所的な温度上昇が観測され,第一壁・背面温度で最大約140度を観測した.使用するアンテナの組み合わせにより高温になる箇所が異なるため,プラズマ自身ではなくアンテナから生成された高速粒子と考えられる.また,アンテナ表面において実験サイクル終了後にメタル系のフレークが得られたことから,温度上昇時にこれらのフレークの発生を伴っていると考えられる. プラズマ放電中の第一壁上の堆積状態を明らかにするため,水素プラズマ放電中へのSiサンプルを挿入した.その結果,堆積した炭素の形状がこれまで実験サイクル終了後に得られた現象とは異なることが明らかとなった.今後,磁力線構造と輸送との関係について明らかにするための実験を行なう予定である.
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