第一壁タイルの表面に形成した薄い導体層に直接通電し発熱させることで現実的な投入パワーで核融合実験装置の第一壁の表面温度を能動制御する新手法を提案している。本研究では、核融合炉の第一壁アーマ材候補であるタングステンの薄膜と絶縁層を、既存の核融合実験装置の第一壁の一部と置換できる材質上にコーティングして、その電気的、熱的特性を測定すると共に、加熱時の薄膜の健全性を確認することにより、本新手法の実現可能性を確認することを目的としている。 そのため、本年度は、将来の発電炉での候補材である低放射化フェライト鋼の表面に、絶縁層として50μmのアルミナ層を形成し、その上に真空プラズマ溶射(VPS)法を用いて50μmおよび200μmのタングステン層を形成した試料について電気的特性を調べた。大気中での予備測定では、室温〜100℃の領域で4端子法により測定したタングステン層の電気伝導度はバルクタングステンの40〜60%であった。真空中での高温領域での電気的・熱的特性の測定に必要な加熱測定用フランジについては、接続して使用する予定であった既存の真空加熱脱ガス測定装置との取り合い部分の構造が大幅に変更されたため、急遽、別の真空排気測定系に接続するため熱電対および電圧測定端子用真空フランジの配置や接続管の管径について設計変更が必要となった。現在、設計変更された加熱測定用フランジの作成が完了し、真空中での高温領域での電気的・熱的特性の測定の準備を行っている。
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