研究課題
本研究の目的は2っあり、1)光学的禁制線を用いてトカマクプラズマにおける高Z不純物(原子番号が大きい不純物)の蓄積量を計測すること、および2)1)を遂行するために必要な基礎データの生産、である。本年度は主に1)に関してJT-60での実験でしばしば用いられるアルゴンに対して実験データの解析を行った。実験では、9価電離状態のアルゴンイォンの基底状態間の磁気双極子遷移によるスペクトル線(ArX2p52P3/2-2p52P1/2)の計測に成功し、そのドップラー拡がりから求めたイオン温度は200-300eVであった。別な計測システムで測定された温度200-300eVの領域は規格化小半径が0.84近傍に対応することから、この領域に存在する9価電離状態のアルゴンイオンからの発光が計測されたと考えられる.これを1次元の不純物輸送コードを用いて検証したところ、9価電離状態のアル:ゴンイオンは規格化小半径0.86近傍にピークを持っように分布していることが示され、実験データをほぼ再現する結果が得られた。よって、このような手法によって高Z不純物の密度が計測できると期待される。不純物イオン密度の導出にはスペクトル線の絶対強度を求める必要があるが、分光システムの絶対感度校正はJT-60のメンテナンスの都合上、未だ実施されていない。また、絶対強度から密度へ換算するにはモデル計算が必要であるが、モデル計算に必要な基礎データを原子構造計算コードによって計算している段階である。今後、整備した近紫外測定用分光器をJT-60本体室に設置し、さらに原子番号の大きいクリプトン、キセノン、タングステンの磁気双極子遷移線を計測する予定である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
日本物理学会講演概要集 60巻1号第2分冊
ページ: 199
Proc. 32nc EPS Plasma Physics Conference, Tarragona, 2005 (印刷中)
Proc. 20th IAEA Fusion Energy Conference Vilamoura, 2004
ページ: EX/10-3