ナノメーターオーダーのパターンの作製過程においては、量子ビームのエネルギー付与過程から、イオン化で生成した電子の熱化過程、熱化直後の電子の反応等のフェムト秒・ピコ秒領域で起こる高速反応がレジスト解像度、感度に密接に関係していることが示されている。そのため、極限プロセス技術を確立するためには、レジストへの量子ビームのエネルギー付与過程から現像過程までの反応機構を詳細に解明することが必要不可欠になっている。ナノテクノロジーという観点から最も注目されるレジストプロセスの解像度は主に露光装置側の問題と材料側の問題に分けることができる。しかし、電子ビームは0.1nm以下に収束させられることが示されており、一般的にも直径2nm以下の電子ビームが利用可能になっている。従って、量子ビームリソグラフィの場合はプロセスの解像度は主に材料側の問題であると考えることができる。 平成16年度はレジスト内で量子ビームによって生成される電子、カチオンラジカル、アニオンラジカルの挙動がレジストの空間分解能や感度とどのような関係にあるかをフェムト秒パルスラジオリシス装置と電子線リソグラフィシステムを用いて解析し、ナノビームプロセスのモデル化を行いシミュレーションコードを作成した。作製したコードを用い、現在の主流である化学増幅型レジストの反応機構に起因する解像度のボケを見積もったところ、約6nm程度あることがわかった。
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