ナノメーターオーダーのパターンの作製過程においては、量子ビームのエネルギー付与過程から、イオン化で生成した電子の熱化過程、熱化直後の電子の反応等のフェムト秒・ピコ秒領域で起こる高速反応がレジスト解像度、感度に密接に関係していることが示されている。そのため、極限プロセス技術を確立するためには、レジストへの量子ビームのエネルギー付与過程から現像過程までの反応機構を詳細に解明することが必要不可欠になっている。ナノテクノロジーという観点から最も注目されるレジストプロセスの解像度は主に露光装置側の問題と材料側の問題に分けることができる。しかし、電子ビームは0.1nm以下に収束させられることが示されており、一般的にも直径2nm以下の電子ビームが利用可能になっている。従って、量子ビームリソグラフィの場合はプロセスの解像度は主に材料側の問題であると考えることができる。 平成18年度はこれまで明らかにしたレジスト内に量子ビームによって誘起される反応の詳細から、レジストの物性値と感度、解像度等のレジスト性能の関係を明らかにすると共に、パルスラジオリシス法を用い、極限ナノビームプロセスの創生につながる放射線誘起反応の探索を行った。さらに、照射により生成するプロトンの固体レジスト中での挙動を明らかにした。これらの結果から、高分子のラジカルカチオンの水酸基の脱プロトン反応とイオン化で生成する二次電子と高分子の電子付着乖離反応を酸発生に利用する新規のレジストコンセプトを提案した。
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