京都の都市部において街路樹がどのような乾燥ストレスを受けているのかを推定するために、次のような調査実験を行った。 1)京都市内および京都近郊の山間部における街路樹のストレスを推定するための野外調査 2)街路樹として使用頻度が高い樹種について人為的に乾燥ストレスをかけて苗木の栽培実験を行い、乾燥ストレス耐性を推定 野外調査では乾燥ストレスの指標として、簡便で多数のサンプルで分析ができる葉の炭素安定同位体比を使用した。大気の安定同位体比の影響を補正する必要があるため、葉のサンプリングと大気のサンプリングを同時に行った。その結果、次のことが明らかになった。 1)都市部においては樹木が光合成をする際に自動車等の排気ガス由来の二酸化炭素がかなり利用されている 2)都市部と郊外山間部では乾燥ストレスにそれほど差はないが、都市部の河川流域では明らかに乾燥ストレスが低い 栽培実験では乾燥ストレスをかけた場合、常緑樹であるクスノキが、落葉樹であるツツジや裸子植物であるイチョウと比べて成長がよく光合成速度も高かった。しかし苗木の状態が必ずしも良好でなかったため、この実験結果から種間比較をするのは尚早であると考えられた。
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