(A)cuc1 cuc2二重変異体のサプレッサー変異の単離と解析 cuc1 cuc2二重変異体のホモ接合体は不稔であるため、サプレッサーの単離は困難であると判断し、代わりにcuc2 cuc3変異体を用いることにした。cuc2 cuc3はcuc1 cuc2と同様に子葉の融合と茎頂分裂組織(SAM)の欠失を示すが、ホモ接合体で維持可能である。cuc2 cuc3をEMSで変異原処理したM1植物1700個体について、次世代の芽生えで表現型が部分的に回復し、かつ安定に遺伝するものが13系統得られた。現在これらについて、遺伝解析を進めている。また、新たに変異原処理した約2000のM1植物について次世代でスクリーニングを継続中である。 (B)CUC1下流遺伝子の探索と解析 20の下流候補遺伝子についてRT-PCRを行った結果、CUC1の過剰発現により再現性よく発現が上昇するものが12個あった。これらのうち、in situハイブリダイゼーションによりCUC1とよく似た発現パターンを示す遺伝子が2つあった。一つは茎頂分裂組織の維持に関わる転写因子をコードするBLRであった。cucとblr変異体との多重変異体を解析したところ、BLRがCUCと同様に萼片の境界部形成に関与することが明らかになった。もう一つの遺伝子は機能未知の核内タンパク質ファミリーのメンバーをコードしていた。この遺伝子の発現がcuc1 cuc2二重変異体において著しく減少することを明らかにした。現在これらの遺伝子を中心にCUCとの相互関係の解析を継続している。また、微小な胚からRNAを抽出する系を確立したので、野生型とcuc1 cuc2二重変異体胚から抽出したRNAを用いてマイクロアレイ解析を進めている。これによりさらにCUC1(およびCUC2)の下流候補遺伝子が得られると期待している。
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