微小管は植物細胞の分裂において紡錘体やフラグモプラストの構成に中心的な役割をするが、その制御の全体像は明らかではない。ヒメツリガネゴケ頂端分裂細胞に発現する姉妹遺伝子yh78とpph27a22はユビキチン様モチーフをもつ2型ユビキチン様タンパク質(UBL)をコードし、細胞分裂の各過程で微小管の制御を行う因子であると考えられる。本年度では、これらのUBLと相互作用する因子を同定することを主目的に研究を遂行し次の成果を得た。 1.yh78、pph27a22の26Sプロテアソームに対する関連性について、酵母two-hybrid系を用いて調べ、pph27a22のユビキチン様ドメインが26SプロテアソームのサブユニットPpMCB1と相互作用することがわかった。さらに免疫組織染色により、pph27a22とPpMCB1の頂端細胞内の局在が重なることを確認した。以上からこれらのUBLは26Sプロテアソームと相互作用することが示唆された。 2.これらのUBLと相互作用する因子を探索するために、頂端分裂細胞に富む組織由来のcDNAライブラリーを用いて酵母two-hybridスリーニングを行った。pph27a22と相互作用する因子として、DnaJ様タンパク質、グアニンヌクレオチド交換因子類似タンパク質など計9種類の因子を同定した。従って、これらのUBLは頂端細胞で様々な因子と相互作用する可能性が示唆された。同定した因子については生化学的な検討とともに機能解析を進めている。 3.抗pph27a22抗体を作製するために、大腸菌を用いてpph27a22の組み換えタンパク質を産生した。この組み換えタンパク質を用いて抗pph27a22抗体を作製中である。
|