研究課題
植物は移動の自由を持たないため、様々な環境変化に対して独自の応答機構を発達させている。そのような応答機構の中で、タンパク質のリン酸化は細胞内シグナル伝達系において主要な役割を持つと考えられている。SNF1-related protein kinase 2(SnRK2)は植物に特有のセリン・スレオニン型プロテインキナーゼのファミリーであり、高浸透圧やアブシジン酸によって活性化される。これまでの申請者らの研究により、シロイヌナズナのSnRK2(SRK2C、SRK2E)が実際に植物の中でシグナル伝達因子として機能し、気孔の開閉や遺伝子発現に影響を及ぼすことが明らかにされてきた。しかしながら、他のSnRK2の機能や、SnRK2の活性化機構並びに下流因子の詳細についてはほとんどわかっていない。本研究では未だ機能未知なSnRK2の解析を進めること、そしてタンパク質相互作用を中心にSnRK2の上流および下流因子を探索することを目的とした。シロイヌナズナに10個あるSnRK2の多重変異体の作成および解析を進めたところ、ストレス耐性の低下や遺伝子発現の変化といった表現型を観察することができた。現在、この変異体の詳細な解析を進めているところである。また、SnRK2との相互作用因子を探索したところ、酵母ツーハイブリッド法によって多数の候補遺伝子を得ることに成功した。今後はこれらの候補遺伝子の解析を行っていく予定である。
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Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103(6)
ページ: 1988-1993
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