研究概要 |
(1)マウス子宮、膣間質の上皮誘導能における違いを調べるために、生後2日齢のマウス子宮、膣の上皮、間質を酵素処理によりはがし、それぞれ組み合わせを変えてはりかえて一晩培養した。翌日、宿主マウスの腎臓皮膜下に移植して3週間後にとりだし、組織学的に解析した。その結果、はりかえを行った組織片では、間質に依存した上皮が分化し、分化マーカーであるケラチン14の発現も変化していた。そこで、生後2日齢と15日齢の子宮、膣との間でいくつかの遺伝子の発現と局在を調べたところ、子宮ではBMP2,hoxa10,hoxa11の発現が、膣ではBMP4,hoxa13の発現が高かった。またこれらの遺伝子は、主に間質細胞において発現していた。このことは、出生直後のマウス子宮、膣では、形態形成や器官の成長に関与すると思われる遺伝子群がそれぞれ異なって発現していることを示している。なお、これらの結果は日本動物学会第75回大会で発表した。 (2)通常、成熟マウスの卵巣を除去すると膣、子宮上皮細胞での細胞増殖の低下とアポトーシスの増加が見られるが、出生直後に合成女性ホルモンであるdiethylstilbestrol (DES)を投与されたマウスの膣ではこれらの変化は見られなかった(学術論文として発表)。したがって、出生直後にDESを投与されたマウスの膣では、いくつかの遺伝子の恒久的な変化とアポトーシスの抑制により、上皮細胞の連続的な増殖が引き起こされていると考えられる。
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